相続する財産の分け方が決まったら、それぞれの財産の名義変更などをしなければいけません。不動産であれば登記(所有者)の変更ですね。不動産に関しては、以前は所有の登記をしなくてもよかったのですが、2024年から相続後3年以内に登記をしなければいけないという法律に変更しています。登記にはお金がかかるためすぐに使う当てのない不動産であれば、登記もしないでそのまま放置する方も多かったのですが、それが現在の放置された空き家問題や所有者不明土地問題につながっています。問題の解決のために今年から相続不動産の登記の義務化が始まりました。ちなみに罰則は10万円以下の過料になる可能性があります。
名義変更などの手続きってどうすればいいの?
相続した財産が不動産の場合は所有権の移転登記が必要ですが、預貯金や株式などの金融財産の場合はどうすればよいのでしょうか。預貯金がある場合で、払い出しが必要なときは被相続人の口座のある金融機関に話をして、必要な書類を確認することになります。株式などの有価証券を引き継ぐときも同じです。証券会社に連絡をして相続人の名義に変更する手続きをするのが基本です。口座に移管するため相続人に口座がない場合は新規で開設する必要があるのでひと手間かかりますね。
不動産の場合、登記の義務化があるのは前述の通りですが、これまで義務になってこなかったことで、遡って登記をしなければいけないという問題もでてきます。例えば父親の土地を相続で取得するので名義変更をしようと思ったら、土地の名義がまだ祖父のままだったというケースです。この場合は祖父から父親の分と、父親から自分の分と2回の登記が必要になります。登記には登録免許税という費用が必要ですが、25年3月末までは1回分だけの費用でよいという制度があります。(2024年9月21日現在)
手続きのたびに必要な書類の束はなんとかなりませんか?
金融機関や不動産の所有権移転登記には、被相続人と相続人の関係を明らかにするための書類が必要になります。「わたしが相続人です!」と言われたからと言って、行政もなんの証明もなしに手続きを進めるわけにはいかないですからね。関係性を明らかにするためには被相続人の戸籍謄本一式と相続人全員の戸籍謄本が必要になるのが基本ですが、全部そろえるとかなりの書類の束になることが想定されます。
金融機関の数が多いと、それだけ書類を揃えなければいけませんが、戸籍謄本取得の負担を軽減する方法として「法定相続情報一覧図」を入手するという方法もあります。一覧図は戸籍謄本一式の代わりになるのでとても便利です。一覧図は法務局で受け取ることができます。法定相続人(または代理人)が必要な書類を法務局に提出すると、必要枚数分を無料で受け取ることができます。もちろん遠方の場合は郵送で済ませることもできます。被相続人の本籍地か最後の住所になっている所在地を管轄している法務局に確認してみてください。
金融機関と不動産を中心に手続きの話をしてきましたが、その他にもゴルフの会員権や自動車などの名義変更の手続きも必要です。車は運輸局へ連絡して、会員権などはそれぞれの運営会社に連絡をすることになります。お金で重要なのは保険金ですが、死亡保険金は受取人に指定された人が手続きをすることになります。相続財産ではないので保険金は遺産分割が進む前でも受け取ることができます。
いかがでしたでしょうか。相続はあらためて当事者同士の協力が必要なことが分かりますよね。相続に不動産が関係している場合は、カワイ不動産にもお気軽にご相談ください。