笑顔で相続ができればいいですね。というのは前回のブログの話でした。不動産の相続で度々触れているのが、意外と分け合うことが難しいという話です。現金のように分配できるものではないからです。共有の持ち分で法定相続分として分け合うということが考えられますが、共有持ち分は様々なリスクや面倒を将来に先送りすることにもなりますし、分け合うということはそれだけ一人当たりの財産が少なくなるということでもあります。いろんな問題を抱えて、本当に遺産分割の話し合いがまとまらないときにはどうしたらよいのでしょうか。そのようなときは、本意ではないかもしれませんが、家庭裁判所の調停を利用するということになります。実際の家庭裁判所への申し立てをみていきましょう。
浜松市の不動産で揉めている相続は裁判所の調停へ
相続人の話し合いは、遺産分割がまとまらないだけではなく、遺産分割の話し合いに参加しない相続人がいたり、そもそも連絡先も分からない相続人がいたりしてまったく話し合いが前に進まない時があります。そのようなときに家庭裁判所の遺産分割調停を利用することを考えてみましょう。
浜松市の裁判所の所在地はこちらをどうぞ
https://www.courts.go.jp/shizuoka/about/syozai/hamamatsu/index.html
裁判所の調停を利用する場合は、相続人のうち誰かひとりが申し立てすればよいことになっています。もちろん複数人でも大丈夫です。申し立てを行った相続人以外の人が相手方となります。相手方が浜松市以外の場合は、相手方の住所地の裁判所または、お互いが合意した裁判所が申し立ての場所になるので注意が必要です。
裁判所に申し立てるときは、申立書という基本の書類のほか、亡くなった方の戸籍謄本や住民票などの書類、収入印紙なども必要になりますので事前に確認をしておくとよいでしょう。実際の調停は平日に2時間程度で行われるのが一般的です。1回で終わることもないので、1~2ヶ月程度の期間をあけながら複数回行われます。そもそも揉めている同士のケースもありますので、申立人と相手方が顔を合わせて話し合いをするわけではありません。調停には裁判官と二人の調停委員がいますので、申立人と相手方が調停委員と交互に話し合いをすることになります。
調停委員は中立的な立場で話を聞いてくれるため、安心して話し合いを進めることができますが、法律的なことに不安がある方は、弁護士をつけるという方法もあります。裁判所を利用すると言っても、必ず弁護士をつけなければいけないわけではありません。ただ弁護士がいると法的なアドバイスをくれたり、代理人として調停に出席したりしてくれるので、気持ち的にも、時間や労力的にもかなり負担が軽減できるのではないかと思います。ただし、お金はかかります。
調停はひとりでも反対する人がいれば成立はしません。あくまでも全員の合意を目指します。調停が成立することで調停証書が作成されて、不動産の名義変更が可能になります。合意ができず調停が成立しないからといって話が進まないわけではありません。それではなんのために裁判所を利用しているのかもわかりませんからね。調停が成立しない場合は、自動的に遺産分割に進み裁判所の判断(審判)によって結論を出すことになります。もちろん不服があれば申し立てをすることもできます。
調停が成立する割合は約44%で、約29%は審判に進むようです(司法統計)。また、1年以内に結論がでるものは約65%で、それ以外は1年を超えた審理が続くようです。これだけの労力が必要な裁判所の利用をなるべく避けて相続を終わらせたいものですね。
本日は以上です。いかがでしょうか。調停を活用した遺産分割のイメージは少しできたのではないかと思います。具体的なことはぜひ専門家に相談してみましょう。