ご自宅として不動産をご所有の方は、もし配偶者のどちらかが亡くなったときに、はたして今のまま自宅に住み続けることはできるのだろうかと、ふと心配になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。相続のことを調べていくと、自分以外に相続人がいる場合は、自宅も相続人で分けなければいけないのか?そうなるともしかしたら、不動産の売却などの話もでてきて自分は出ていかないといけないのか?いろんな不安がでてきますよね。そのような不安を払しょくするために、夫がなくなったあとの妻の住まいを守るための「配偶者居住権」というものがあります。ただ、場合によっては使い勝手が悪い制度でもありますので、もう少し詳しくみていきましょう。
配偶者居住権ってどんな仕組みなんですか?
一般的には、家庭の生計を主に支えている人は、夫になることが多いと思いますが、その夫が亡くなったあとに、妻の自宅の権利を守るためにある制度が「配偶者居住権」です。結論で言うと、この制度を利用することで、妻は他の相続人を心配することなく自宅にずっと住み続けることができます。
まず、考え方として自宅は不動産なので、家と土地を分けて考えることになります。そして居住権と所有権も分けて考えることになります。権利を分けることで、遺産が自宅だけしかない場合、他の相続人が自分が相続をした分を主張して、自宅を売却するしかなくなることを防ぎます。家は、居住権を妻が取得して住み続ける権利を得ます。土地は「敷地利用権」として、利用できる権利を取得します。その一方で、子供などのほかの相続人は、配偶者居住権付きの家として所有権を取得します。同じように土地も利用権付きとして所有権を取得します。
このように権利を分けることによって、妻は老後も安心して、いまの自宅に住み続けることができると同時に、相続した子供には妻(お母さま)が亡くなった時点で配偶者居住権は消滅して、所有権が残り二次相続での税負担が軽くなるというメリットもあります。
では、誰にもデメリットのない制度なんですか?
ただ、実際に制度を活用しようと思っても、注意しなければいけないこともあります。例えば、配偶者所有権は、権利ではありますが、所有権のように売却したりすることはできません。改築や増築も自由にできないというデメリットもあります。
また、途中で老人ホームに移るからもう住みませんと言うことになる場合は、対価の支払いの問題や、贈与税、譲渡所得税などの税金の問題もでてきます。ちょっと面倒ですよね。平穏にずっと何の問題もなく住み続けるだけであればよいのですが、状況がかわったときに面倒な話がでてくるため、一見便利だと思われる制度ですが、実は実際の利用者はまだまだ少ないのが現実のようです。
配偶者居住権は、前述のように居住する権利と所有する権利を分けるため、どちらの評価額も通常より下がるのが基本です。そのため、通常の所有権移転の相続とは評価額の計算が変わってきます。二次相続のときに子供が相続税の負担がなく自宅をそのまま取得できるため、二次相続の発生を考えた節税効果もありますが、配偶者居住権と所有権は、一般の不動産と同じように相続をした後は、法務局で登記をする必要もあります。まだまだ複雑なことや面倒なことも多い制度ではありますので、検討したい方は専門家である税理士へのご相談をお勧めいたします。
いかがでしたか。自宅やご自身の権利を守るってたいへんなことですよね。不動産についてまわりに相談する方がいらっしゃらない方は、カワイ不動産にもご相談ください。専門家もご紹介させていただきます。