相続した財産は、相続人全員が納得すればどのように分けてもよいことはご存じでしょうか。例えば不動産を相続した場合でも、法定相続分に合わせてきちっと分けなければいけないなんてことはありません。確かに法定相続分は民法で定められていますが、これは相続人同士で話し合いがまとまらずに、裁判所の調停や審判を受けるときの目安になるものです。相続税を計算するときの目安にもなります。では、実際に切って分けることができない不動産のような財産はどのように分けて相続するのがよいのでしょうか。
遺産の分け方は相続人が自由に決めることができます
例えば、お父様が亡くなった場合に、遺されたお母さまと子供で遺産を相続することになりますが、仕事をして安定した収入のある子供たちと、すでにリタイアして老後を過ごしているお母さまと経済的な事情が違ってくれば、安定した生活をおくってもらうために、なるべく多くお母さまが相続をしてもぜんぜん構わないということです。相続された方全員の生活の状況などをみて、話し合って決めていくのがよいと思われます。
遺産の分け方を実際にどのようにしたらよいのかを考えるときに、現金のようにスパンと分けられるものであればよいのですが、実家や大家業をしているアパートなどの不動産の場合はどうしたらよいのでしょうか。遺産の分け方には大きく4つの考え方があります。
遺産を分ける4つの考え方
遺産の分け方には、不動産や預貯金をそのままの状態でそれぞれ誰かが取得する「現物分割」、分けにくい財産を売却して現金で分け合う「換価分割」、誰かが代表して財産を相続して差額を代償する「代償分割」、複数で共有して相続する「共有」という4つの方法があります。
例えば、不動産はお母さまが相続して現金は長男、株式などは長女に分けるとすれば、現物をそのまま分け合う現物分割となります。不動産はどうしても物理的には分けにくいので、使わない不動産であれば売却して現金化するという方法があります。売却して取得した現金を分けるので平等には分けやすくなりますが、希望する金額で必ず売却できるとは限らず、手間や時間がかかる場合もあります。
もし、金銭的な余裕のある方が相続人の中にいるのであれば、その人が不動産をひとりで相続して、他の相続人には差額に相当する金銭を支払って調整するという方法がよいかもしれません。上記3つのいずれの相続もできない場合は、そのまま共有で相続するという方法になります。共有で相続する場合は、各相続人の持ち分を決めて共有者として登記します。ただ、共有の場合は注意しなければいけないこともあります。
不動産を共有した場合は、その後に売却や活用するとき、基本的に共有者全員の承諾が必要になります。ひとりの所有者が勝手に話を進めることはできません。また、不動産を所有するということは固定資産税も発生しますし、維持管理などのお金も必要になります。すべての共有者が自分の責任を全うしてくれればよいのですが、何かとトラブルの種を作ってしまうことにもつながります。売却を想定して一時的に共有するのであればよいのですが、ずっと持ち続ける場合は、問題を先送りしているのと変わりない場合もあるので、共有という手段は避けた方が賢明なのかもしれません。
分けにくい財産は不動産の他にも株式などの有価証券や骨董品、絵画などもあります。分割する財産などに合わせて相続人のお互いの希望を尊重しながら話し合いをするのが良いのではないでしょうか。
いかがでしょうか、分けにくい不動産には4つの相続の考え方があります、実際の自分のパターンであればどのような分け方が最適なのかご相談もお聞きしていますので、ぜひいつでもお問い合わせください。